洋服のしわを伸ばすスチームアイロンは家庭で最も身近な家電のひとつです。
最近は新しいタイプのアイロンがたくさん登場しています。
というご意見もありますよね。
私は家電アドバイザーとして最新式のスチームアイロンを販売しますが、思い入れのある家電製品をなかなか買い替えられない方も多いです。
しかし家電のプロとしてみなさんにお尋ねします。
ご家庭にある家電製品、本当に安全ですか?
家電製品の耐用年数を過ぎて使用する場合は、製品のセルフチェックが非常に重要です。
- 家電製品の耐用年数を確認する
- 耐用年数を過ぎた家電製品を使う際の注意点
- 古い家電製品のメンテナンス方法
この記事では私が長期間愛用するスチームアイロンを使用する際にチェックしているポイントや、家電量販店のお客様の危険な使用方法を例にして安全に家電製品を使っていく方法をご紹介します。
ご自宅で長年愛用する家電製品を見直していただき、家電製品の状態をしっかり把握して安全に使いましょう。
家電製品の耐用年数一覧
まず家電製品の耐用年数とはその電化製品を使える期間を指すものではなく、メーカーが修理や補修のための部品を用意している期間のことです。
その期間を過ぎるとメーカーは修理はおろか、ちょっとした分解整備もできなくなります。
つまり、メーカーが責任をもって安全を管理できる期間=耐用年数ととらえるのが一般的です。
メーカーや製品ごとに多少の違いはありますが、おおむねガイドラインにのっとって取扱説明書に明記されています。
白物家電の耐用年数一覧
参考までにパナソニックの部品保有期限をまとめます。
数字はPanasonic公式サイトより引用いたしました。
(補修用性能部品の保有期間|Panasonic公式)
品目 | 最低部品保有期間 |
---|---|
エアコン | 10年 |
冷蔵庫 | 9年 |
洗濯機(縦型) | 7年 |
洗濯機(ドラム式) | 6年 |
生活に必要な大型家電をピックアップしました。
意外なのはドラム式洗濯機より縦型洗濯機の方が部品保有期間が長いということです。
ドラム式洗濯機の方が価格が高いので長く使いたいところですが、修理可能な期間は縦型洗濯機より短いので注意が必要です。
品目 | 最低部品保有期間 |
---|---|
電子レンジ | 8年 |
炊飯器 | 6年 |
オーブントースター | 5年 |
コーヒーメーカー | 5年 |
キッチン家電をピックアップしました。
近年は10万円を超える炊飯器も発売されていますがその修理可能期間は6年となっています。
コスパを求めるか毎食のご飯の質を高めるかで判断が分かれそうです。
品目 | 最低部品保有期間 |
---|---|
空気清浄機 | 6年 |
掃除機 | 6年 |
アイロン | 5年 |
ドライヤー | 5年 |
最後は身近な中・小物家電をピックアップ。
掃除機や空気清浄機は6年となっていますが、こちらで記載しているのはあくまで補修用の部品です。
つまり故障したときに修理できる期間のこと。
たとえば掃除機の紙パックや空気清浄機の交換用フィルターなど取り換えに必要な消耗品はもっと長く取り扱っています。
耐用年数にかかわらず愛用している電化製品の消耗品はお近くの電気屋さんに相談するとアドバイスをもらえますよ。
黒物家電の耐用年数一覧
テレビ・オーディオなどのAV機器を相称して黒物家電と呼ばれます。
パナソニックの部品保有期間一覧を公式サイトからピックアップいたしました。
(補修用性能部品の保有期間|Panasonic公式)
品目 | 最低部品保有期間 |
---|---|
テレビ | 8年 |
ブルーレイレコーダー | 8年 |
デジタル一眼カメラ | 8年 |
コンパクトデジタルカメラ | 5年 |
テレビ・レコーダーは8年と、洗濯機よりも修理可能な期間が長くなっています。
いまや1人1台テレビやレコーダーを買う家庭も増えていますから安心して使えますね。
注意したいのはカメラ。一眼カメラは高額なので8年間修理可能ですが、コンパクトデジタルカメラは5年間です。
同じカメラでも種類によって修理できる期間が違うので確認したいですね。
品目 | 最低部品保有期間 |
---|---|
ビデオカメラ | 8年 |
ドアホン | 7年 |
ラジオ | 6年 |
電話・ファックス | 5年 |
一般的に黒物家電は白物家電よりも電力消費量が少なく、そのぶん長持ちする傾向があります。
電話・ファックスは5年と短めになっていますが、こちらもインクリボンなど必要な消耗品は長く販売することが多いです。
消耗品の購入はメーカーに連絡しても最寄りの家電量販店への相談をすすめられます。
家電量販店のカウンターで型式を伝えて注文しましょう。
コードレススチームアイロンの耐用年数は5年
ここで我が家のスチームアイロンをご紹介します。
ナショナル(現パナソニック)製品
コードレススチームアイロン NI-L62
2008年に松下電器産業の社名がパナソニックに変更されると同時にナショナルブランドは廃止されました。(詳しくはPanasonic社史をご確認ください)
それまでは国内向け商品はナショナル、外国にも売り出すグローバル商品をパナソニックとして販売していました。
我が家のアイロンはその時代のもので軽く20年以上お世話になっています。
私がこの古いアイロンを使っている理由は2つあります。
- 亡き母の形見だから
- 目立った故障が無いため
思い入れのある家電製品はなるべく長く使いたいですよね。
しかし耐用年数を大幅に過ぎた商品はいつ故障が起きてもおかしくありません。
必ず自身でチェック、メンテナンスをすることが安全に使うためのポイントとなります。
耐用年数を過ぎた商品を使う際の注意点
本来ならば買い替えるべき時期をとうに過ぎた商品を、私のようにわけあって使っている人も多いです。
愛用の家電製品を長く使用・メンテナンスする際の注意点をまとめました。
- 異常加熱などの故障サインがでたら使用を中止する
- 未通電期間が長い場合は試運転してから使う
- 危険な自己流補修は厳禁
故障サインがでたら使用を中止する
我が家のアイロンの例を出すと、目立った故障は無いものの全く無傷ではありません。
実は何年も前からスチームが出なくなっているのです。
これは長年の使用で水道水のカルキが固まってスチームの出る穴がふさがってしまったことによる症状とみられます。
本来であれば分解清掃で解消しますが修理可能年数をすぎているためそのまま使用しています。
ただここにもう一つ別の症状が加われば迷わず処分するつもりです。
特に危険な例はこちら
- 本体が異常に加熱する
- 電源コードから煙
- 通電時に焦げ臭いにおい
- 電源ボタンなどのランプが点滅(普段と違う)
私が家電量販店の現場にいて本当に怖いと思うのは、このような症状が出ても使い続ける人が少なからずいるということです。
家電製品の、特に電子レンジ、炊飯器、アイロンなど一度にたくさんの電力を消費する製品は故障したまま使うと火災の原因になったり、やけどなど重大な事故につながる可能性があります。
とくに5年、10年と長く使用している製品を使う場合にはささいな故障のサインを見逃さないように気をつけましょう。
長く使っていない場合は必ず試運転する
長く未通電、つまり電源を入れない状態で放置していた製品はそれだけで故障のリスクが高くなります。
よくお客様で「あまり使っていないのに壊れた」と憤慨される方がいらっしゃいます。
気持ちはわかりますが電化製品はある程度定期的に電源を入れ、使うことで電子回路が長持ちするのです。
しばらく使っていない古い電化製品を急に使ってトラブルになったケースも少なくありません。
長期間使っていない家電製品は必ず試運転をして様子を見ながら使うようにしましょう。
危険な自己流補修は厳禁
私たち家電量販店の従業員が一番肝を冷やすのは家電製品を自己流で補修して使っている人を見たときです。
特に年配の男性に多いのですが、このようなことは絶対にやめてください。
- 電源コードが切れて中の銅線が見えてしまったからビニールテープで補修した
- 動かなくなったから分解して基盤を掃除して使えるようになった
- コンセントの差し込みが曲がったからペンチで戻して使っている
これはすべてウソのようなホントの話です。
このような行為は本来電気工事士やサービスマンなど、持つ専門知識を持つ人しかできません。特に多いのが電源ケーブルをビニールテープで止めて使っている人です。
これ、一歩間違うと火事の原因になる大変恐ろしい行為です。
長期間使用した家電製品のメンテナンスはどうする?
では長期間使用した家電製品は具体的にどのようにメンテナンスすればよいのでしょうか。
対応方法は以下の3つです。
- メーカーに相談
- 家電量販店に相談
- 街の電気屋さんに相談
もし具体的な故障が見受けられる場合は確実に買い替えをすすめられます。
特にメーカーや家電量販店ではそのまま使い続けて事故になった場合のことを考えてなるべく早めの買い替えをすすめるでしょう。
と言いたい気持ちはわかりますが、使用者の安全を第一に考えてのことだとご理解ください。
※メーカーも家電量販店も事故が起きたときの責任を負えません※
街の電気屋さんは最後の砦
メーカーや家電量販店で断られたものでも街の電気屋さんなら少々の補修をしてくれる場合があります。
古くからある小さな家電販売店には様々なスキルを持っている方がいて、できる範囲での修理を請け負ってくれる場合があります。
しかし部品交換が必要な場合やあまりに危険と判断される場合には修理をすることはできません。
メーカーや家電量販店同様買い替えを強くすすめる場合があります。
その場合は他に手はありませんのであきらめましょう。
どうしてもという強い気持ちがある場合、ダメ元でという気持ちで相談する。
いわば街の電気屋さんは最後の砦なのです。
長期使用製品表示制度とは
一部の家電製品は長期使用製品表示制度の指定商品になっていて、設計上安全に使用できる期限が明記されているものがあります。
以下の商品を長期間使用する際にはより一層の安全管理が必要です。
- 扇風機
- 洗濯機
- 換気扇
- エアコン
- ブラウン管テレビ
これらの製品は一定期間を過ぎると修理ができなくなるだけでなく、経年劣化により発火やケガにつながる事故が発生するおそれありという極めて重要な指標です。
異常を感じた場合にはただちに使用をやめ、メーカーや家電量販店へ相談しましょう。
まとめ:家電製品を安全に使うために必要なこと
長年愛用した家電製品を安全に使用するためには以下のことが重要です。
- 耐用年数をしっかり確認して修理可能期間を認識しよう
- 製品の状態をよく確認して異常があればすぐに使用をやめよう
- 故障時にはメーカー、家電量販店、街の電気屋さんなど専門家の意見を聞こう
いつかは故障して使えなくなる家電製品ですが、気に入ったものや思入れのある商品は長く使いたいものです。
使用期間が長いかどうかにかかわらず、家電製品を使う場合は使用上の注意をよく読んで安全に使えるようこころがけたいです。
また、故障の症状をみつけたらすぐに専門家に相談して最後の最後まで安全に使ってあげてくださいね。